計測ツール関連
ノギスは彫金用などでなくて構いません。
100均でも売られていますし。
定規で測るのでもよいのですが、それよりも正確に測れます。
デジタルノギスでももちろん構いません。
アナログノギスのメモリの見方は下記の写真を参考にしてください。
カニコンパスはちょうどカニの爪のようなところを、例えば3mm幅にしておき、ある1辺を基にして線を引くと3mmの幅で印をつけることができたり、3mmごとに点を打つことができるものです。
カニコンパスの反対はけがきです。
こちらも印をつけるために使います。
普通の定規を使って印をつけていくのでも問題ないのですが、簡単に均一の幅を取ることができるので、持っていた方が作業量が変わってきます。
ワックスを形づくる時に必要なツール
ワックスのブロックから糸のこで必要分をカットし、余分なぶんをヤスリで削り落としたあと、細部の模様は彫刻刀、スパチュラ(左から2〜5本目)、ミニナイフなどでつくりあげていきます。
彫刻刀は学校で使っていたような彫刻刀よりも、刃のサイズが小さいもの(3mmや2mm、1.5mmなど)をおすすめします。
美容系でもヘラをスパチュラと呼びますが、工具のスパチュラです。
先が細いもので、いろいろな形があります。
歯医者さんで、歯石を取る時にカリカリと使っているもの、と言えばイメージしやすいでしょうか。
よく「10本セット」というのがあり、価格としてはとてもお得なので飛びついてしまうのですが、実はそんなにたくさんはいりません。
そしてスパチュラは実際に手にとって、握りやすさや重さなどを自分の手で確認してから購入することをおすすめします。
実際に細かな部分を削って形づくっていく作業は結構な時間を費やします。
その間、重かったり、握りにいととても疲れてしまうんです。
(加えてスパチュラが滑らないようにイボイボしたものがついていたりしますが、長時間使っていると指に跡がついて痛いんですよ。)
実際に見れるところがないよ、という方は、通販サイトで細身のものを選ばれるとがよいかと思います。
私はたまたまこのスパチュラセットを入手し、使い勝手がよいので使い続けています。
また、購入後、使い始める前に#2000くらいの紙やすりで先を研いであげると、彫り味、削り味がよくなります。
使い続けているとワックスがつき、きれいに削れないこともあるので、そのときはまたヤスリでお手入れしてあげてください。
ちなみに、右から2番めと3番目のものは折れたヤスリを研磨して、好みの形に仕上げたマイスパチュラです。
ワックスを盛る時に必要なツール
削りすぎてしまった時や、ワックスを盛って形づくっていく際に「必要」と言われるものが「ワックスペン」。
多くは1万円ほど、もしくはそれ以上します。
大量のワックスを盛る時にはとても便利ですが、実は温度の調整が難しく、細かな部分を制作する時に溶かしたくないところを溶かしてしまった・・・ということがよくあり、ほとんど使っていません。
ワックスペンを買わないとできない、という方もいらっしゃるのですが、私は実はこれは必須ではないと思います。
今回の記事でご紹介していませんが、仕上げのためには「リューター」が必要なので、こちらも数千円〜数万円します。
研磨に必要な「ポイント」(リューターにつけるヤスリなど)も別途必要で、結局いろいろと工具を揃えていくとかなり高額になってしまいます。
それでは始めるまでにハードルが高くなってしまいますよね。
もちろん、買った方が続ける、楽なら買う、ということで即座に購入していただいてもよいのですが、ひとまず私がワックスペン代わりにおすすめするのはこちら。
モールドワックス(ソフトワックス)を使う場合はこちらのほうが使い勝手がよいと思います。
私はハードワックスの時にはメスを、ソフトの場合はヘラを使っています。
ヘラはステンレス製で厚さしなやかに曲がるぐらい薄いものですが、なかなか入手できないかもしれません。
その場合は先述のスパチュラを使ってみてください。
これでなければならないわけではなく、熱に強く、持ち手が熱くならないヘラなら何でもよいです。
盛り方は、まずアルコールランプでメスを熱し、冷めないうちに盛り付けるワックスをメスで取り、またメスをワックス共々アルコールランプで熱します。
ワックスが溶け出しますので、それを盛り付ける土台のワックスにぷすっと刺す。
これを繰り返していきます。
ワックスがついた状態で熱しすぎるとメスの先に火がつきますが、その時は落ち着いて火を吹き消し、ティッシュで不要なワックスを取り、またメスを温め、新しいワックスを使ってください。
(実際のやり方は後日アップしたいと思います。)
あとは忘れてならないのが燃料用のアルコールとライターですね。
アルコールはドラッグストアで販売していますので、簡単に購入できます。
あると便利なもの
なくても制作はできます。
が、あった方が断然きれいに、そして手間がかからず制作できるツールです。
スコヤとテンプレート。
スコヤは直角のものをつくる時、カットした部分の角度の確認に便利です。
ホームセンターで販売されているもので大丈夫です。
円のテンプレートは真円のパーツをつくる際に重宝します。
人間の目ではずっと同じものを見ていると、曲がっていてもわからなくなってしまうため、特にきっちりとしたものをつくりたい時には定規は必須です。
はかりとダイヤルキャリパーゲージ
はかりはワックスを計量し、どれぐらいの地金になるのか、どれぐらいの価格になるのかを確認するのに使います。
ワックスの重量 × 地金の比重値 = 鋳造後の地金の重量
となります。(地金によって比重値が違いますので注意しましょう。比重値はまた追って。)
業者さんにお願いする場合は、鋳造料金はこの重量をもとに、地金の価格をかけ、工賃も加わえて、おおよその費用の金額を算出します。
ダイヤルキャリパゲージは裏抜き(ボリュームのあるデザインの場合に、軽量化のため、裏面を掘ることです。)をしたときに裏抜きしたところの厚みを測るのに使います。
ワックスを傷つけずに長さを測るのにはノギスやスコヤよりも、「スライディングゲージ」で測るのがよいのですが、私はこのダイヤルキャリパーゲージを使ってしまうことが多いです。
(そのためスライディングゲージは使ったことがありません。)
そのほか
平らな面を綺麗にしたり、傷を取ったりするのに使います。
また、竹串もとても便利で、スパチュラが入らない部分の細工や、竹串の横でハードワックスを磨くとつるつると仕上げられます。(竹串に凸凹がないように確認してください。傷がつきます。)
そして仕上げであると便利なものが「ストッキング」です。
ストッキングで磨くとこれまたつるつるした仕上がりになります。
が、あまり強くこすると原型が壊れますので、気をつけてください。
今は仕上げに細かな傷を取る液体もありますので、そちらも使ってみるとよいかもしれません。
ほかにもワックスの粉を払うブラシや油性ペンがあると便利です。
ブラシはメイクで使うようなブラシで構いません。
今回は以上になりますが、私がこれまで使用してきた、汚れた使い古し感満載のツールたちの写真で申し訳ありません。
ですが、ロストワックス手法では、そんなに高額な工具を使わなくともアクセサリー(の原型)がつくれてしまうということがおわかりいただけたのではないでしょうか。(仕上げは鋳造業者さんでも行ってくれますので!)
また、ほかの制作されている方と使用しているものが違うかもしれませんが、それでも長年制作してきました。
人それぞれの道具を使って、人それぞれ自由に制作できる。
それがロストワックス手法の魅力のひとつだと思います。
実際の使い方はまた後日ご紹介します。