身体を丸める
全体を浅丸や印刀を使って丸めながら、身体のラインを彫り出していきます。
がつがついってやるよ!と削っていったところ。。。
やってしまいました。
手の下のお腹部分の厚みと胸の厚みが違いすぎるほど、下胸のあたりを削りすぎてしまいました。
旨は薄いのに手の下は厚い。
仕方がないので、上胸とお腹を薄くしてごまかすことに。
ただ、上胸が薄くなったことで顔が前に出ているように見え始めたので、顔前面も少し削るという作業が増えてしまいました。
さらに、当初から入っていた足元の切れ込みが深すぎて、それを消すまで彫ると、やたらお腹が出たおかしなお地蔵さまになります・・・。
作業が楽になるためのやさしさが仇に。
ならば一重の袈裟の予定を、2枚着ているようにごまかします。
もうこの段階で、教本通りではなく「自分のオリジナルのお地蔵さまをつくればいいのだ」という頭に。
完成させることに意義がある!
順目と逆目
そしてこのあたりからわたしを悩ませたのが「順目(ならいめ)」と「逆目(さかめ)」問題。
どちらも木の目の方向のことで、順目は刃物がスムーズに動き、削りカスがくるっと丸まりうれしくなる方です。
逆目は、順目とは逆で削ったときに刃が食い込んだり、がりがりと音がして表面がざらついたり、パキッと割れたり裂けたりする場合です。
逆目だ、と思ってその逆(180度回転)から彫れる場合はいいのですが、逆からだと彫刻刀が入らないとか、逆にしても逆目のように割れたり裂けたりしてしまう部分がありました。
これは一体どうしたものかといろいろ試していたのですが、結局、最後まであまりうまくでいかず、
- ・のみの切れ味がとてもよかったので、大きなところはのみを彫刻刀のように使って薄く、何度も削る
- ・細かいとことは印刀や浅丸を使ってちょこちょこと彫る
- ・なんとなくごまかす
という対処法でのりきりました。
こういうときは実際に先生の手元を見たり、教えていただいて技を習得したいよな、とひしひしと感じましたね。
顔をつくり込む
ここではっと我に返ります。
・・・なんか教本と同じ段階のはずなのに、顔が全く違う・・・笑
教本の中身(途中段階のお写真)は載せられないため比較検証していただけなくて残念ですが、明らかに違うし、かわいくない。
どうしたらいいのかわからなくなり、ちょっとここで挫けそうになりましたが、
- ・やたら鼻が長い
- ・顔全体が四角い
に気づき、まずはそこを直して。
あとは眼をつくり込めば、また形が見えてくるに違いありません。
片眼を、まぶたのポッコリをあえて落とし、細目にしながら目頭と目尻をしゅっとのばして、それっぽくしてみたら・・・
いいんじゃない!?
眼を調整したら、人の顔としてさらに手を入れていくべきところ(ほっぺたやこめかみをもっと削ってもいい、とか)が見えてきました。
最終仕上げ
お顔は鏡に映してみて、左右対称になっているか確認します。
あとは耳の角を落としたり、全体的にシャープにするところはくっきりと、凸凹しているところはなめらかにして完成です。
いかがですか?
教本のプロの作品にはもちろん見劣りしますし、お顔はちょっと四角めで笑、逆目のボソボソしたところも見えてちょっとまだ手を入れていきたいところではありますが・・・、初めてにしてはいいお顔になって、よくできたと思います。
満足です。
まとめ
結局完成まで、1日4〜5時間、11日ほどかかりました。
「らくらく彫れるかわいいお地蔵さま」ではありません。笑
自分で実際につくってみると、仏師さんのこと、今まで以上に尊敬します。
まさに職人かつ、アーティスト。
今回つくってみての感想は・・・
- ①つくりたいと思うデザインはいろいろな角度の画像などを用意し、常に確認しながら彫る
- ②参考作品はあくまで参考。自分のオリジナルでよい
- ③丸刀、平刀、印刀、三角刀は細いものもあったほうがいい
- ④とにかくまず、失敗してもいいのでひとつつくってみる。
彫る加減(深さなど)はひとつつくれば感覚的にわかる。 - ⑤汚れてもいい場所、ふわふわ素材ではない服装で。掃除機も必須。
寒かったのでフリースを着て作業していましたが、フリースの隙間に削りカスが入り込んでしまい、なかなか取れませんでした。
セーターも危険です。
削りカスもかなり出ますので、汚れてもいい、すぐに掃除できるような場所で制作しましょう。
なかなか思うようにいかずに放ってしまいたくなりましたが、やはり集中するとあっという間に時間が経ち、達成感も非常にありました。
簡単すぎず、長い時間をかけてちょっとずつ進められますので、趣味のひとつとして、とてもおすすめです!